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2012年06月07日|attic
flowers from the garden


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ミス・ケントンは、花を生けた大きな花瓶を抱え、にっこり笑ってこう言いました。

「ミスター・スティーブンス、これでお部屋が少しは明るくなりますわ」

カズオ・イシグロの小説「日の名残り」(中央公論)の中、
私の好きな場面の一つです。

女中頭のミス・ケントンが、執事のミスター・スティーブンスが働く食器室があまりに殺風景なことを気遣い、花を持ってきたのです。

全編ミスター・スティーブンスの回想というかたちで語られるのですが、彼にとって、20数年経っても、花を抱えた若きミス・ケントンの姿が印象深く心に残っていたのでしょうか。

結局ミスター・スティーブンスは、仕事場においては「気を散らすもの」として、その花を断ってしまうのですが、、、、。

気を散らすのは花?それとも。。。。

英国における「品格とは」について、
伝統あるお屋敷に仕える執事と女中頭の切ない関係も含みながら、静かに語られる小説です。

映画化されたものは、多少時代設定やテーマが違っているように思えましたが、どちらもとても素敵な作品です。

我が家の軒下で、ほとんど手をかけられていないにもかかわらず、たくさんの花を咲かせてくれた紫陽花。
今日はビクトリアンのミルク・ジャグに。

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