The Claremont

「 パルフリー夫人が初めてクレアモントホテルに着いたのは、一月のある日曜日の午後のことだった。ロンドンの街は雨が降り込められ、夫人の乗ったタクシーは水しぶきをあげながら人気の途絶えたクロムウェルロードを走っていく。くぼんだ小さなポーチを一つ一つ通り過ぎるたびに、運転手は速度を緩め、頭を雨の中に突き出した。そのホテルの名を聞いたことがなかったからだ。、、、、、」
(「クレアモントホテル」集英社文庫より)

小説「クレアモントホテル」はこのような文章で始まります。

公開当時から気にはなっていたものの、観る機会を逸していた映画「クレアモントホテル」。
ようやくDVDで見ることが出来たのですが、その前に原作もと思い、エリザベス・テイラー(かの大女優とは同姓同名!)原作の小説を読みました。

なんとも味わい深い小説でした。

そして上記の出だしの一文から、自分がまるでロンドンにいるような錯覚を起こさせてくれるほどに、気持ちを掴まれたのです。

ロンドンに旅行をされた方で、有名な老舗ホテルや大型ホテルではなく、小さなプライベートホテルやB&Bなどに滞在された方は、私と同じ様な感覚を持たれると思うのですが、いかがでしょうか?

ロンドンのタクシーはご存じの通り、とっても優秀で、市内中心部であれば名所は勿論、全ての通り名(ロンドンにおける住所)を把握しています。
ですので、ドライバーに行き先の通りの名前を伝えたら、何処へでも連れて行ってくれるのです。
でもさすがに通り名の前に付く番地の場所までははっきりしないので、速度を落としながら、建物の玄関前にある柱やドアに示される番号を確認して探してくれます。

空港からヒースロー・エクスプレスで、ロンドン市内のパディントン駅まで。(約15分!!)
タクシー乗り場の長い列。
ようやく私の番になり、助手席の窓が開いて、ドライバーにホテルの住所を告げる。
「OK!」とドライバー。(笑顔だったり、そうでもなかったり、、)
自分でタクシーの重いドアを開けて、大きな荷物(ほとんど梱包材)を座席に放り込む。
初めてのホテルに期待と不安を感じながらも、久しぶりのロンドンの街並に見入ってしまう。
いよいよメモに記した住所の通りに入って、ドライバーと二人、身を乗り出しながら、建物の番号を探す。
「あった!」と思わず日本語の私。

ロンドンに着いた初日の、まだそこの空気や言葉に慣れない緊張感の中での私自身を パルフリー夫人に重ねてしまいました。

なんて、、私事に長くなってしまいましたね。
映画版のお話はまた今度させて頂きます。

写真はロンドンのホテルの部屋からのもの。
着くなり雨。ロンドンですからね。
なんでこんな写真を撮ったかは不明ですが、この小説を読んで思い出した一枚です。(これもまた、現実のロンドンの姿)

さて、来週のプティ・セナクルさんでも、この小説や映画のお話なんかもはさみながら、楽しい時間に出来たらと思っています。
ご参加をお待ちしております。

sense and sensibility

なんということでしょう!

ポアロが終わり、やっと早寝が出来ると思っていたら、
昨晩BS放送で「ある晴れた日に」をやっているではありあせんか!!

やっぱり観てしまいました。
(もう何回目でしょうか、、、。)

18世紀の人々の(主に上流階級)生活、階級意識、考え方などを知ったり、
当時のファッション、インテリア、身の回りの道具等など、
博物館や写真で見るのとは違って、よりリアルに感じることが出来て、英国の歴史を知る上でも、とても参考になりますね。

今回は特に、田舎の大邸宅とコテージ、
そして、お金持ちが社交の季節に滞在するロンドンのタウンハウスなどの対比も楽しめました。

アティックの二人は、ジェーン・オースティンの大ファンです。小説は勿論、映画化、ドラマ化されたものが大好きで、
(特にH嬢はかなり詳しいです。。)
よく話題に上ります。

因みに、この作品では私は当然エドワード派なのですが
(なんていったてヒュー様が演じたのですから)、
H嬢はウィロビー派。
(この後、共演したエマ・トンプソンとウィロビーを演じた俳優が結婚したので、H嬢からはかなりのブーイング、、、。)

私達はこういったことに関しては、いつも好みが分かれて丁度良いのです。

つまり、私が「sense」で、H嬢が「sensibility」???

* プティ・セナクルでの講座につきましては、下記HPをご覧くださいませ。

* アティックでのフラワーアレンジの講座については、2月11日のブログをご覧下さいませ。

どちらもお電話にて、お気軽にお問い合わせ下さい。

pansy

ビクトリア時代には、様々な場面でカードを贈り合っていたようですが、バレンタインのカードもその一つ。

心を込めて手作りされたカードには、
気持ちを伝えるために、当時ポピュラーになり始めた花言葉が用いられることも多かったようです。

「愛情」をあらわす薔薇はもちろんのこと、
パンジーもバレンタインには好まれていたとのこと。

パンジーの花言葉は、「私を想って」。

だからでしょうか、パンジーの絵柄のものは
ひときわロマンティックな雰囲気です。

* プティ・セナクルでの講座につきまして、詳しくは下記HPをご覧くださいませ。
 

* アティックでのフラワー・アレンジの講習会については
2月11日のブログをご覧下さいませ。

どちらもお電話にて、お気軽にお問い合わせ下さい。

St Valentines Day approaches

昔々、17世紀頃のお話。
人は聖バレンタインデーの朝に最初に出会った未婚の人と
結婚する運命にある、、、、
ということが言われていたらしいですが、
(「英国流の暮らし」シーラ:ピクルス著)

もしそんなことがあるなら、
バレンタインデー当日は怖くて家に引きこもってしまいそうです、、、、。
(あっ!でもやっぱり出ておいた方がよいかな。。。?)

日本では女性から男性へチョコレート。が一般的ですが、
最近では欧米の習慣にならって、
男女を問わず、プレゼントを贈りあうことも増えてきたようです。

プレゼントもチョコレートに限らず、カードやお花、その他なんでも、相手想う気持ちがこもっているものであれば。

勿論、素敵なアンティークなら、バッチリ気持ちが伝わりそう!!

information from attic

アティックにて、講師の先生Chieさんをお迎えし、フラワー・アレンジの講習会を開催することになりました。

とは言っても、午後のひと時、先生のデモンストレーションを見てお勉強しつつも、おしゃべりしながら楽しい時間を過ごしましょう!!という、1時間ほどの気軽な会にしたいと思っています。

先生に家庭で実践出来る基本的なデコレーションをご披露頂いた後、
アティックにあるアンティークの商品を使って、
ティーカップ、グラス、ジャグなどにいける際のコツなどを
具体的に教えて頂く予定です。

そして、ご参加いただいた方には、お土産にミニブーケをお持ち帰り頂きます。

今後もシリーズで開催したいと考えていますが、
第1回のテーマは 「お雛様」。

アンティークの小物を使って、お雛様の季節にふさわしい、
可愛らしいアレンジを教えて頂く予定です。

皆様のご参加をお待ちしています!!

日時 : 2月28日(火曜日) 13:00〜14:00
場所 : アティック
参加費用 : ¥1,500(お土産のミニブーケ付)

詳細はお電話にてお気軽にお尋ね下さい。
(03−5490−6601)

講師のChieさんのブログもご覧下さい。

プティ・セナクルでの講座もご参加お待ちしております!

写真は、ロンドンのパブ脇で店を出しているお花屋さんです。
いつものホテルのすぐ近くなので、滞在中は毎日幾度となく前を通ります。
この辺りはちょっと雑多なエリアなのですが、このお花屋さんの存在が、街に彩りを与えてくれて、ちょっと疲れた旅人の私の気持ちも癒してくれるのです。
やっぱりお花はいいですよね。

Orient Express and a lamp shade

とうとう今回のシリーズの最終話だった昨晩のポアロ。

以前に観たことのある映画版は、ハリウッドの大スターが勢揃いの、華やかでゴージャスな作品でしたが、このテレビドラマ版は、英国らしい落ち着いた雰囲気となっていて、また別の作品を観ているようで楽しめました。

さすがのオリエント急行、とっても贅沢なインテリアの車内。
とはいえ、場面はほとんど厳寒の吹雪の中で脱線したこの列車内だけで、映像としては少々地味目。

その中で存在感があったのが、各テーブルに置かれているランプスタンドでした。
やや濃いめのピンクの布製シェードが、クラッシックで、派手過ぎず、木製の壁で覆われた車内の素敵なアクセントになっていました。

インテリアの印象を決める際に、照明はとっても重要なアイテムです。

かと言って、模様替えの度に大きな照明器具を替えるのは大変だし、コストもかかる。
でも卓上のランプであれば、シェードだけを替えるだけで、驚くほどに部屋の雰囲気を替えることが出来て、しかも手軽。
布製シェードの色や形、大きさをかかえたり、
布製のものをガラス製のものにしたり、またその反対も。

「これには絶対にこれだけ!」という固定観念を少し忘れて、素材の組み合わせやバランス等、ちょっと冒険してみるのも意外な発見があったりしますね。

まだまだ寒い毎日ですが、少しづつ新しい季節が近づいてきています。
そろそろお部屋の(お手軽!)模様替えプランを立て始めてみませんか?

last night

「マダ〜ム!」 「マドモワズゥェ〜ル!」

の名調子と推理が、昨晩も絶好調だった名探偵ポアロさん。

それにしても、ムッシュ熊倉の吹き替えは絶品!!
あのポアロさんのお顔で日本語。という違和感を微塵も感じさせないのは、流石というほかありません。

昨日の舞台は、田舎のお屋敷。
お金持ちの叔母から屋敷と財産を相続した女性の家でした。

少し前の時代であるヴィクトリアンなインテリアを堪能しました。

植物柄で暗い色調の壁紙、こまごまとした調度品で埋め尽くされた室内、過去の様式をミックスさせた家具類(代々家に伝わるものか、ヴィクトリア時代にたくさん製作されたリプロ品か?)、、、。

財産を引き継ぎ、伝統的な生活を送る家主ですから、ここはアール・デコではないですね。

でもやっぱり女性達の服装は、30年代のスタイル。
そのミクスチャーもなかなか楽しめました。
特に、ポアロの友人である女流推理小説家のシルクのナイトガウンが、とっても素敵でした。
(室内の小物の中にも、アール・デコのものがチラホラ見えて、そちらもgood!)

そういえば途中で、ヴィクトリア女王即位50周年の記念ワインを飲むシーンがありました。
きっと色々とお祝いの記念品が出たのでしょうね。

そうそう、今年はエリザベス女王即位60年のお祝いの年。
オリンピックにDiamond Jubilee.
英国はまさにお祭り騒ぎの一年でしょうか。

と、話は横に逸れましたが、今夜はいよいよ「オリエント急行〜」
夜更かしな毎日です。。。

* お知らせ *

今年は何かと話題のロンドンのお話を プティ・セナクルさんでさせて頂きます。

今回は秋、冬のロンドンをテーマにする予定なので、
先日も書かせて頂いた映画「新しく人生を始める方法」や、
昨年日本でも公開された「クレアモント・ホテル」なども参考に、ロンドンの魅力を皆さんとお話出来ればなと考えています。

是非ご参加下さいませ。

プティ・セナクル.

art deco

昨晩のポアロは、イングランド南部の街ドーバーが舞台でした。

ドーバーと言えばご存じ、ドーバー海峡の向こう側フランスへ渡る船が出る港町。

現在人々が英国とフランスを移動する際には、飛行機以外だとユーロスターが主な交通機関となっていますが、ちょっと前までは、ドーバー・カレー間の船を利用していました。

ロンドンで学生だった頃に、一度パリまで行くのに深夜バスを利用したことがあります。
私は友人とパリで待ち合わせだったので、一人旅。
周囲はヨーロッパ各国の若者のグループばかり。。

ロンドンのヴィクトリア・コーチ ステーションからバスでドーバーまで行き、そこでフェリーに乗ってフランスのカレーに渡り、そこからパリまで再びバスで移動。
パリ市内に早朝の5時半頃着いたのですが、慣れないパリの街に、朝まだ暗い中バスからひとり降ろされた時の心細さは、20年経った今も憶えています。。。
いや〜若かったな。  良い思い出です。

さて、昨晩のポアロのインテリア・チェック!!は、
殺人事件の容疑者として疑われる夫婦の家。

なんでも少し前に亡くなった親戚から、思いがけず高額の遺産がころがりこんだとか。
それまでの貧しい暮らしぶりが一転、贅沢な生活を楽しんでいるということ。

この家の内装もアール・デコスタイルでまとめられていました。

ただ、先日のポアロの家や、Sirの称号を持つお金持ちの俳優の邸宅のそれとは違い、もっと庶民的で、コージーな空間。

ドーバーという地方都市のテラスハウスということで、スケール感のある洗練されたものというよりは、もっと親しみやすい雰囲気に、
しかも、突然大金を手にし、張り切って最新流行のスタイルの、ピカピカの真新しい装飾品で揃えました!!
といった感じが良く出ていたなというのが、私の感想です。
考えすぎでしょうか?

この家でお茶をするシーンがありました。
そのティーセットが、これまたデコスタイルで可愛かった!
あっという間で、細かくは判らなかったのですが、
幾何学的な形で、モダンにデザインされた花柄だったような。
1930年代当時、最盛期を迎えていたシェリー窯のもの??

そんなことを考えていたら、またまた謎解きが判らなくなってしまいました。

Poirot

NHK BSで昨晩より始まった「名探偵ポワロ」の新シリーズ。

ちょっとだけのつもりが、そんなの
無理、無理!
やっぱり最後まで観てしまいました。
皆さんご覧になりましたか?
(ポアロさん、随分とおじいちゃんになって、益々良い感じでしたね。)

このドラマ、ストーリーの面白さは勿論ですが、
やはり何といっても、舞台となる建物、インテリア、美術・装飾品、衣装等の素晴らしさといったらありません!

それらに気を取られてしまい、肝心の謎解きのトリックが頭に入ってこないくらいです。

このテレビシリーズでは、時代設定を1930年代に限定しているとのことなので、当時の流行であったアール・デコのスタイル、デザインを堪能することが出来ます。

昨晩はポアロの自宅?オフィス?が何度も登場しました。
洗練されたアール・デコ様式のインテリアは溜息がでるほど素敵で、それだけ1時間半みせて下さっても良いくらい。

単に「アール・デコ」っぽいものを寄せ集めただけのものではなく、美意識もプライドも高いベルギー人のポアロのキャラクターを反映し、完成させたであろうインテリアは、ドラマのセットとは思えないほど本物で奥行きを感じさせるもの。

このドラマシリーズのセットが出来るまでのドキュメンタリーを、いつか放送してくれないかな。。。

昨晩のポアロが、自分のデスクで謎解きをする場面。
傍らにはこの写真のカップと同じ型の色違いのものが。
なんだか、やっぱり、嬉しいものですね。。。

今晩も観ちゃいそう。