季節変わり目があやふやだったのをいいことに、
先日ようやくタンスの衣替えをしました。
その流れで、押し入れの中もごそごそとかき回していたら、
小学校で使っていたそろばんが、母のお手製の袋に入ったまま出てきました。
そろばんがピッタリ収まる赤いフェルトの袋で、表側には犬のリードを持った少女の刺繍がしてあり、裏面にはそのリードにつながれた子犬の刺繍です。
私とは正反対で、母は刺繍や編み物が好きなので、子供の頃の学校で使う袋モノやお稽古バッグは、ほとんど母が作ってくれていました。
当時は既製品で最新のナイロン製バッグの方が数倍素敵に見えていた記憶があるのですが、今更ながら大きく反省。
今こうして「商い」させて頂いているけど、さすがに今後もそろばんの出番はなさそう。
でも母お手製の袋のおかげで、そろばんもバザー行きはまぬがれそうです。
18世紀の英国が舞台のジェーン・オースティンの映画などを観ていると、女性達が刺繍や編み物をしている場面がよく出てきます。
当時の上流階級の女性は、一部の特殊な職業(医者や小説家など)を除き、仕事をすることが許されず、家事はもちろん使用人に任せるので、毎日のすることといったら、友人宅を訪ねてのお茶やおしゃべり、それにダンスパーティ。
その他はもっぱら、ピアノを弾いたり、刺繍をしていたりしていたそうです。
産業革命を経て19世紀に入り、社会が大きく変化しても、女性のたしなみとして、刺繍などは必須だったようです。
そして写真のテーブルクロス達は おそらく1940年代から60年代のもの。
普通の主婦が、お手本帳などを見ながら、家庭で家族の為に刺繍したものが、現在アンティークのマーケットに出たものではないかと思われます。
時代は移り変わっても、変わらないものもありますよね。
多少糸の始末が荒かったり、刺繍糸が緩くなっていたり、たまに下書きの線が残っていたりもするけれど、
いわゆる「製品」ではないところに、温かみがあるような気がします。
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